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労働生産性を上げる方法とは?生産性向上のポイントと具体策を解説

公開日:2023.12.15

労働生産性とは、労働者1人あたり、もしくは1時間あたりの生産の成果を数値化した指標のことです。労働生産性を上げるためのポイントと、具体的な取り組み例をまとめました。BPOによる労働生産性向上の効果とあわせて解説します。

働き方改革の機運が高まりつつある中、労働生産性を上げる重要性が増しています。一方で、そもそも労働生産性とは何を指しているのか、具体的にどうすれば労働生産性を上げられるのか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、「労働生産性とは何か?」「なぜ上げる必要があるのか?」といった基本事項の整理とともに、労働生産性を上げるポイントや取り組みの具体例を紹介します。労働生産性向上を実現する手法の1つとして、BPOを活用する効果とあわせて見ていきましょう。

労働生産性とは

はじめに、労働生産性とは何かを整理し、定義を明確に理解した上で、労働生産性を数値で算出する方法を把握しておきましょう。

労働生産性の定義

労働生産性とは、労働者1人あたり、または1時間あたりにもたらされる生産の成果を数値化した指標のことです。労働生産性の向上とは、労働者1人あたり・1時間あたりの生産量を増やしていくことを表します。

企業活動において利用可能な資源は無制限ではありません。限られたヒト・モノ・カネを効率よく活用し、利益を上げていく必要があります。可能な限り少ない労働時間や人件費で、より多くの成果を生み出すことが、労働生産性を上げる根本的な目的と捉えてください。

物的労働生産性

労働生産性のうち、生産数量に着目するのが「物的労働生産性」という考え方です。労働者1人あたりが、モノやサービスを生産する効率を表す指標として用いられます。
物的労働生産性=生産数量(売上高)÷労働量

物的労働生産性が高いほど、1人あたりの労働者がもたらした売り上げが多いことになります。たとえば、従来は10人で生産していた製品を、同じ時間内に5人で同数生産できるようになった場合、物的労働生産性が2倍に向上したことになるのです。

付加価値労働生産性

物的労働生産性は生産数量と労働量のみに着目しており、生産に必要な原価は考慮していません。そのため、一見すると労働生産性が高いようでも、実際には利益が出ていないこともあり得ます。こうした問題を解決するのが付加価値労働生産性という考え方です。

付加価値労働生産性とは、生産に必要な原価を差し引いた付加価値を表す指標のことを指します。

  • 付加価値労働生産性=付加価値額÷労働量

ここでいう付加価値額とは、一般的に用いられている「粗利益」とほぼ同じ意味です。付加価値労働生産性が高いほど、従業員1人あたりが生み出している価値が高いと判断できます。

なぜ労働生産性を上げる必要がある?

ところで、そもそもなぜ労働生産性を上げる必要があるのでしょうか。主な理由として、次の3つが挙げられます。

理由1:労働人口の減少

少子高齢化が急速に進行しつつある日本では、生産年齢人口の減少による人手不足が懸念されています。従来は人海戦術で乗り切ってきた局面を、限られた人員で乗り切っていかなくてはなりません。

今後ますます労働力不足の加速が分かっている以上、1人ひとりの生産性を高めていく必要があるでしょう。人手不足への対策を講じるには、労働生産性の向上が急務となっているのです。

理由2:働き方改革の推進

国が推進する働き方改革の流れに乗るためにも、労働生産性の向上は欠かせない要素といえます。日本国内の時間あたり労働生産性はOECD加盟38ヶ国中27位、1人あたり労働生産性は29位(※)と低水準に留まっているのが実情です。先進諸外国と比べて低迷している労働生産性を改善し、国際競争力を維持していくためにも、国として対策に乗り出しています。

国内人口が減少に転じていることにより、今後はますます1人あたり・時間あたりの労働生産性が重要視されるようになるでしょう。働き方改革の機運が高まっていることは、労働生産性の向上を図る必要性が増している重要な背景といえます。

※参考:日本生産性本部「労働生産性の国際比較2022」2022年12月19日

理由3:企業価値の向上

市場にモノやサービスが行きわたったことにより、消費者は必要不可欠なものだけを購入するとは限らなくなっています。自身の価値観に合う商品・理想とする体験を満たしてくれるサービスを求め、購入する傾向が強まっているのです。

こうした市場の動向に対応するには、アイディアやイノベーションの創出が欠かせません。従業員がより生産的・創造的な業務に集中できる環境を整えることは、企業にとって喫緊の課題といえます。企業価値を向上させていく上で、労働生産性の向上は避けて通れない道となりつつあるのです。

労働生産性を上げる3つのポイント

労働生産性を上げるには、どのような取り組みが必要となるのでしょうか。労働生産性を向上させる3つのポイントを確認しましょう。

ポイント1:業務の可視化

労働生産性を上げる第一歩は、現状の業務の可視化です。業務の手順・内容を見える化し、課題を明らかにしていく必要があります。

たとえば、非効率なプロセスを抽出したり、不要なタスクは思い切って取りやめたりする対応が求められるでしょう。慣習的に続けられてきたものの、価値や利益の創出につながっていない業務がないか、客観的な視点で検証してください。生産性を高める上でボトルネックとなっているプロセスを見極め、改善効果の高い業務の優先順位をつけることが大切です。

ポイント2:業務の自動化

定型的なタスクや繰り返し作業となっているプロセスについては、自動化することも検討しましょう。人の手で行う必要がある業務か、複雑な判断が求められる業務か、丁寧に検証しておく必要があります。

自動化・機械化を推進することで、業務スピードが向上するだけでなく、人的ミスの抑制にもつながります。定型業務が自動化されれば、従業員がコア業務に取り組む時間も確保しやすくなり、結果として生産性の向上につながるはずです。

ポイント3:業務の標準化

生産性を上げるには、業務の分担が可能な状況を作っていくことも重要です。特定の担当者しか理解していない業務はブラックボックス化しやすく、非効率なプロセスが放置されかねません。

業務を標準化していくには、属人化の解消や業務マニュアルの作成、ルール策定による業務分担、負荷の分散が可能な体制構築が求められます。複数名で業務が分担できる体制にしていくことで、商品やサービスの付加価値を高均一化する効果も期待できるでしょう。

労働生産性を上げる取り組みの具体例

労働生産性を上げる取り組みの具体例を紹介します。いずれの施策も、最終的な目的は労働生産性を高めることです。1つ1つの取り組み自体が目的化することのないように注意しましょう。

ペーパーレス化の推進

業務で使用する文書のペーパーレス化は、労働生産性を上げるための基本的な取り組みの1つです。文書をデータ化することにより、押印などの非効率なワークフローの改善につながります。また、紙の書類を保管する手間やスペースが削減できるほか、検索性が向上し業務効率が向上する効果も期待できるでしょう。

ペーパーレス化の推進は、クラウドストレージの導入とセットで進めることをおすすめします。場所やデバイスを問わず社内情報にアクセスできるようにすることで、リモートワークなど多様な働き方にも対応しやすくなるはずです。

ビジネスチャットツールの導入

コミュニケーションの改善も、労働生産性を上げるための重要なポイントといえます。コミュニケーションの省力化を図ることでこまめに情報を共有しやすくなり、業務の質を高める効果が期待できるからです。

とくに社内の業務連絡に関しては、メールからビジネスチャットへ移行することをおすすめします。メールと比べて定型的な挨拶文などを省略したやり取りがしやすく、用件を端的に伝えられるからです。グループチャット機能を活用すれば、チームや部署内での情報共有も容易になるでしょう。

プロジェクト管理ツールの導入

計画的な業務遂行と属人化の解消には、プロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。業務プロセスや進捗状況が可視化され、誰が何をしているのか、いつ完了する予定なのかが共有しやすくなります。

プロジェクトの業務量を可視化することにより、無駄な工程がないか、業務の偏りが生じていないか確認することもできます。適切な人員配置が実現しやすくなり、ムリ・ムダ・ムラのない業務遂行が可能になるでしょう。

RPA・AIの活用

定型業務や繰り返し発生するタスクに関しては、RPAやAIツールを活用した省力化や自動化に取り組むことをおすすめします。担当者がコア業務に集中しやすくなり、より生産的・創造的な業務の精度を高めやすくなるからです。

また、自動化を推進することにより人的ミスの抑制にもつながります。作業後のチェックやミスが発生した際の手戻りが削減され、限られた勤務時間をより有効活用しやすくなるでしょう。

アウトソーシング(BPO)の活用

労働生産性の向上は、社内の取り組みによってすべてを完結させる必要はありません。必要に応じてアウトソーシング(BPO)を活用することで、従業員の負荷軽減が実現しやすくなるでしょう。

BPOによって委託できる業務は、定型的なタスクだけではありません。現状の業務フローの改善や最適化も含めて委託することも可能です。社内では当たり前になっている業務フローの問題点を客観的な視点から検証してもらい、より効率的で生産性の高い手順・進め方に改善できる可能性があります。

BPOによる労働生産性向上の効果

BPOを活用して労働生産性の向上を図ることで、具体的にどのような効果を得られるのでしょうか。主なメリットとして、次の3点が挙げられます。

業務設計も含めて委託できる

現状の業務フローをそのまま委託するだけでなく、業務設計の改善や提案も含めてBPOサービスに委託できます。従来の業務フローで抱えている課題の抽出や、改善策の提案をプロに委託できることは大きなメリットといえるでしょう。

これまで自社で続けてきた業務やタスクに疑義の目を向けるのは、想像以上に難しいことです。業務内容への理解度や関与の度合いによって、無意識のうちに「改善は難しい」「現状がベスト」といった偏った判断を下してしまいかねません。第三者の視点を取り入れることで、こうした判断ミスを防ぐ効果も期待できます。

利益率の改善につながる

BPOサービスであれば、業務の繁閑状況に合わせて委託する業務量や業務内容を柔軟に調整できます。繁忙期が到来するたびに派遣やアルバイトスタッフを増員する必要がありません。人件費を抑制することにより、利益率の改善につながるでしょう。

また、人材の採用だけでなく教育・研修にかかっていたコストや、業務で使用するシステムや設備にかかっていた固定費も削減できます。BPOサービスには委託料がかかるものの、トータルで見るとコスト削減効果のほうが大きいケースも少なくないのです。

業務標準化の推進にも役立つ

BPOサービスに業務設計・実行・進捗管理などを任せることにより、業務の標準化を推進する効果も期待できます。特定の担当者に業務が集中することがなくなるため、業務の属人化を解消できるからです。

担当者の欠勤や退職に伴う業務の混乱を防ぐ意味でも効果的です。業務を安定的に維持することは、事業の持続性を担保する上で重要な要素といえます。マニュアル化やルール策定も含めてBPOサービスに委託することにより、業務のブラックボックス化を防止できるでしょう。

まとめ

労働生産性の向上は、業種を問わずあらゆる企業にとって急務といえます。今回紹介してきた具体的な取り組みを推進することで、働き方改革の推進や企業価値の向上を実現していく必要があるでしょう。

一方で、自社の業務の進め方や手順にメスを入れるのは容易なことではありません。BPOサービスの活用を通して、第三者の視点から適切な改善策の提案が可能になる場合もあります。労働生産性を上げるための具体策やBPOに関するご相談は、ぜひエイジェックグループまでお問い合わせください。

株式会社エイジェックグループ

【 株式会社エイジェックグループ 】

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