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ストレスチェック義務化とは?対象者や実施手順、注意点を解説

公開日:2023.07.19

平成27年(2015年)12月より、労働者が50人以上の事業場ではストレスチェックを実施することが義務づけられています。ストレスチェックの実施手順や実施時の注意点、外部委託するメリットについてまとめました。

従業員のメンタルヘルスをケアするための施策の1つに「ストレスチェック」が挙げられます。一定の条件を満たした企業においてはストレスチェックの実施が義務づけられているため、必ず実施しなくてはなりません。

今回は、ストレスチェック制度について知っておくべき基礎知識や実施手順、実施時の注意点について解説します。ストレスチェックを外部委託するメリットにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

ストレスチェック制度とは

はじめに、ストレスチェックとはどのような制度なのか、制度の概要や対象者、健康診断との違いを押さえましょう。どのような場合に実施が義務づけられるのか、正確に把握しておくことが大切です。

ストレスチェック制度の概要

ストレスチェック制度とは、労働安全衛生法第66条の10により、労働者50人以上の事業場に年1回の実施が義務づけられている検査です。ストレスに関する質問票に沿って回答してもらい、収集した回答を集計・分析することにより、それぞれの労働者の状況や事業場全体の傾向を把握できます。

また、ストレスチェックの結果をフィードバックし、労働者が各自の状態に対する理解を深めることにより、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐことも、ストレスチェックを実施する重要な目的の1つです。

ストレスチェックの対象者

ストレスチェックの対象となるのは「常時使用する労働者」です。常時使用する労働者とは、以下の条件に該当する人を指します。

  • 期間の定めのない労働契約により使用される者
  • 期間の定めのある労働契約により使用される者のうち、契約期間が1年以上(予定を含む)である者
  • 1週間の労働時間数が同種の業務に従事する労働者の1週間の所定労働時間数の3/4以上である者

正社員に限らず契約社員やパート・アルバイトについても、上記の条件に当てはまる場合はストレスチェックの対象となります。ただし、休職者や雇用予定者、海外現地法人の勤務者に関してはストレスチェックの対象外です。

ストレスチェックの実施者・実施事務従業者

ストレスチェックの実施者とは、ストレスチェックの企画や結果の評価に携わる人のことを指します。医師や保健師、看護師、精神保健福祉士などが実施者となるのが一般的です。ストレスチェックの結果、面接指導が必要な労働者を選定するのも実施者の役割とされています。

実施事務従事者とは、ストレスチェックの調査票を配布・回収したり、結果通知や面接の勧奨、未受検者への声がけなどを行ったりする人のことです。衛生管理者や産業保健スタッフ、人事担当者などが実施事務従事者の役割を担うケースが多く見られます。

健康診断との違い

健康診断は、対象となる従業員は必ず受診しなくてはなりません。一方、ストレスチェックの実施は条件を満たしている事業者に義務づけられているものの、実際に受検するかどうかは労働者の判断に委ねられています。メンタルヘルスチェックの受検を労働者に強要してはならない点に十分注意してください。

また、健康診断の結果は事業場に報告されるのに対して、ストレスチェックの結果は受検者本人の同意がない限り事業場は知ることができません。結果を見ることができるのは、ストレスチェックの実施者と実施事務従事者に限られます。

ストレスチェックの実施義務と努力義務

ストレスチェックには7つの実施義務と2つの努力義務が定められています。義務を怠った場合の罰則とあわせて確認しておきましょう。

7つの義務

ストレスチェックにおける7つの義務は下表の通りです。

義務1 事業者はストスレスチェック制度の基本方針を表明し、その上で実施方法や実施状況、改善などを調査審議すること。
義務2 事業者は従業員に対して1年以内ごとに1回、定期的にストレスチェックを実施すること。
義務3 ストレスチェックを受けた労働者には必ず結果を通知すること。また、従業員の同意を得ることなく事業者に検査結果を提供しないこと。
義務4 高ストレスに該当する労働者が医師による面接指導を希望する場合は、面接指導を実施すること。
義務5 医師による面接指導の結果の記録を5年間保存すること。
義務6 事業者は、面接指導を実施した医師から労働者の健康を保持するための意見を聞かなければならない。
義務7 医師の意見から必要が認められる場合は、事業者は労働者の労働環境を改善するなど処置を講じなくてはならない。

2つの努力義務

次に挙げる2点については、事業者の努力義務とされています。

  • ストレスチェックの結果を集計・分析するよう努めること
  • 労働者の心理的な負担を軽減するための措置を講じるよう努めること

つまり、ストレスチェックの実施方法と結果の取り扱いについては義務づけられている一方で、結果の集計・分析や心理的な負担を軽減するための措置については努力義務に留められています。もちろん、努力義務に関しても実施するほうが望ましいのは間違いないため、できる限り実施するよう努める必要があるでしょう。

実施しなかった場合に罰則はある?

ストレスチェックに関する義務を怠った場合、罰則はあるのでしょうか。

結論からお伝えすると、直接的な罰則は設けられていません。ただし、ストレスチェック実施後には労働基準監督署へ報告することが義務づけられている点に注意してください。実施の報告を行わない場合、最大で50万円の罰則金が科されます。

なお、厚生労働省が実施した令和2年(2020年)の調査によれば、ストレスチェックを実施した事業場は全体の84.9%にのぼります(※)。未実施の事業場のほうが少ないことから見ても、ストレスチェックは「一般的に実施するもの」と捉えるべきでしょう。

※出典)厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000805299.pdf

ストレスチェックの実施手順

ストレスチェックを実施する際には、どのような手順で進めればよいのでしょうか。具体的な実施手順について解説します。

①導入準備

ストレスチェックを初めて実施する際には、導入に向けて準備を進める必要があります。次の事項を安全衛生委員会や人事部で話し合い、明確にしておきましょう。

  • 実施者、実施事務従事者を誰にするか
  • 実施期間をいつに設定するか
  • 質問票にどのような質問を掲載すべきか
  • ストレス度の評価方法をどうするか
  • 面接指導を実施する医師は誰にするか
  • ストレスチェック結果の保存・管理方法をどうすべきか

上記の各項目が決定したら、ストレスチェックの実施要項として明文化しておくことが大切です。曖昧な点が残らないよう、実施方法や担当者を複数名でチェックしましょう。

②質問票の作成・実施

ストレスチェックを実施する際には、労働者一人ひとりに「質問票」を配布する必要があります。質問票には決まった形式・項目はないため、それぞれの事業者の判断で作成するのが基本です。

厚生労働省が公表している「安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」には、職業性ストレス簡易調査票の質問項目として推奨される57項目が挙げられています。これらの項目を参考に質問票を作成し、質問項目数が適切か、回答しづらい質問になっていないか、複数名で実際に回答しながらチェックしておくことが大切です。

参考)厚生労働省「安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf

③面接指導

ストレスチェックの結果を集計・分析した結果、高ストレス状態と判定された労働者が希望した場合、医師による面接指導を実施します。面接指導の希望者を調査し、面接のセッティングを行うのは実施事務従事者の役割です。

面接指導の結果報告を聴取後、事業者は組織改善や労働環境の改善を1カ月以内に検討・実施する必要があります。改善の必要が認められたにもかかわらず、対処をすることなく放置しないよう注意しましょう。

ストレスチェック実施時の注意点

ストレスチェックを実施する際に注意すべき点をまとめました。ストレスチェックを実施する目的は、あくまでも労働者のメンタルヘルスをケアすることです。ストレスチェックを実施したことによってトラブルを招くことのないよう、細心の注意を払う必要があります。

プライバシーの保護

ストレスチェックの結果は、個人情報の中でもとくに配慮が必要な情報にあたります。実施者・実施事務従事者・面接実施者にはいずれも守秘義務が課されている点を十分に認識してください。

とくに実施事務従事者に関しては、従業員の中から専任することになります。ストレスチェックを通じて知り得た情報を他の従業員に口外することのないよう、事前に研修・教育を行う必要があるでしょう。組織全体でプライバシー保護への意識を高めていくことが重要です。

不利益な取り扱いの禁止

ストレスチェックの受検や面接指導は任意のため、実際に利用するかどうかは労働者の判断に委ねられています。受検しないよう仕向けることや、面接を受けるよう強要することはできません。

また、ストレスチェックの結果から高ストレス状態にあることが判明した従業員を正当な理由なく配置転換したり、役職の変更を命じたりすることは不利益な取り扱いに該当します。高ストレス状態にあることを労働者の個人的な問題と捉えるのではなく、原因はあくまでも労働環境にあると捉えるべきでしょう。

対象者が受検を拒否した場合の対応

労働者がストレスチェックの受検を拒否した場合、事業者は受検を強制することはできません。ストレスチェックに関する情報は保護される旨を伝えた上で、ケアが目的であること、受検の有無や結果によって不利益な扱いを受けないことを丁寧に説明し、受検を推奨するのみに留めてください。

対象者が受検を拒否する理由にはさまざまな要因が想定されますが、自身のストレス状態を職場に察知されたくない・同僚や上司に知られたくないといった心理が働いているケースが少なくありません。ストレスチェックの趣旨やプライバシー保護に関する誤解が解消されれば、快く受検してもらえる場合もあるはずです。

ストレスチェックは外部委託がおすすめ

ストレスチェックに関する一連の業務は、外部の事業者に委託できます。外部委託するメリットや具体的なサービス内容について見ていきましょう。

メンタルヘルス事業者への委託が可能

ストレスチェックを外部委託する場合の委託先は、メンタルヘルス事業者などが一般的です。産業医に代わる依頼先として、近年はメンタルヘルス事業者への外部委託が定着しつつあります。ストレスチェックの企画・準備・実施をはじめ、結果分析や面談のセッティングといった一連の業務を外部委託するケースは決してめずらしくありません。

ストレスチェックの導入を予定している事業者様はもちろんのこと、従来の実施方法が負担になっていた事業者様にとって、外部委託は有力な解決策の1つといえるでしょう。

ストレスチェックを外部委託するメリット

メンタルヘルス事業者は、ストレスチェックに関する専門的な知見やノウハウをもっていることに加え、メンタルヘルスに関する最新動向を把握しています。これらのリソースを活用できることは、ストレスチェックを外部委託する大きなメリットです。

また、ストレスチェックの準備・実施だけでなく、実施後の分析や高ストレス者へのフォローも含めて委託できるため、事業者の負担が軽減されます。事業者は労働環境の改善など、本来注力すべきことに集中しやすくなるでしょう。

エイジェックグループのストレスチェックサービス

エイジェックグループでは、メンタルヘルス事業の一環としてストレスチェックサービスを提供しています。Web・マークシートいずれの方式でも実施できるため、事業者様のご希望に応じて対応可能です。出力結果では、ストレスを感じやすい内容に応じて従業員を7タイプに分類し、従業員が感じているストレスの状況を可視化できます。

また、高ストレス者への継続的なフォローも実施しています。面談指導はもちろんのこと、相談窓口の開設や産業保健カウンセリングにも対応しているので、従業員の皆さまのメンタルヘルスを総合的にケアしていく上で役立てていただけるでしょう。

まとめ

ストレスチェックの実施は、労働者50人以上の事業場に義務づけられています。ストレスチェックの趣旨や目的、注意点を把握した上で、適切に実施していくことが大切です。

ストレスチェックをより効果的に、かつ効率よく実施したい事業者様は、ぜひエイジェックグループの健康経営®*コンサルティングをご活用ください。ストレスチェックサービスをはじめ、従業員の皆さまのメンタルヘルスを良好に保つためのさまざまなご提案をさせていただきます。健康経営コンサルティングにご興味をお持ちの事業者様は、下記より資料をご請求いただき、ぜひ詳細をご確認ください。

*「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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